免疫⑦-ウイルスが起こす感染症
福井県坂井市春江町の整体院、セラピストハウスです。
寒くなってきて、感染症が流行りやすい時期になってきましたので、感染症に対する免疫について、数回にわたって説明していこうと思います。
この記事は免疫①、免疫②、免疫③、免疫④、免疫⑤、免疫⑥の続きになります。
ウイルスが起こす感染症
タンパク質の殻と内部の核酸(遺伝子DNAまたはRNA)からなるウイルスは、生命の最小単位である細胞ではないため、自己複製機能をもっていません。そのため宿主細胞に寄生し、その機能を利用して増殖します。
体内に侵入したウイルスは、細胞表面へ吸着し、細胞内に侵入します。その後、ウイルスの殻が分解(脱穀)され、ウイルスの遺伝子が遊離し、感染細胞の核内に入ってウイルスの遺伝子が遊離し、感染細胞の核内に入ってウイルスに必要なタンパク質やウイルス遺伝子が合成されます。つくられたウイルスの部品は、細胞内で集合しウイルス粒子となって、感染細胞から出ていきます。
感染初期に自然免疫が働く
ウイルス感染の初期では自然免疫系が刺激され、ウイルス感染細胞からインターフェロンα(IFN-α)やIFN-βなどのサイトカインが産生されます。この作用でNK細胞が活性化され、ウイルス感染細胞を非特異的に破壊します。また、マクロファージがウイルスに感染するとIFN-γを産生します。これは一酸化窒素(NO)の産生を高め、その殺菌作用によってマクロファージ内でのウイルスの複製を阻害します。
感染を終結させる適応免疫
T細胞に樹状細胞からウイルス抗原の提示が行われると、抗原特異的なT細胞が活性化し、B細胞による抗体産生が開始されます。抗体の機能として、ウイルス粒子の表面の抗原と結合して感染能力をなくすだけでなく、補体系を活性化する事でウイルスを破壊する事もできます。また感染細胞に抗体が結合し、それを目印にして細胞障害性T細胞が攻撃する抗体依存性の細胞破壊や、感染細胞のウイルス抗原(MHC分子状の)を認識した細胞障害性T細胞による破壊もあります。
したがって、ウイルス感染における感染終結のためには、適応免疫系の働きが重要です。さらに一度感染したウイルスに対する特異的ヘルパーT細胞やB細胞が記憶細胞として残るため、初回感染と比較して2回目の感染ではウイルス排除の免疫反応が迅速化されます。