痛み 神経因性疼痛ー腕神経叢損傷

福井県坂井市春江町の整体院セラピストハウスです。

 

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今回で神経因性疼痛は最後、腕神経叢損傷について取り上げていきます。

 

腕神経叢損傷とは?

腕神経叢は第5~8頚髄と第1胸髄を出て上肢へ向かう神経の束で、鎖骨と第1肋骨の間を通ります。第5頚髄神経は肩の運動、第6頚髄神経は肘屈曲、第7頚髄神経は肘と手首の伸展、第8頚髄神経と第1胸髄神経は指の屈伸に関わっています。

腕神経叢が障害される原因として一番多いのがオートバイの転倒事故であり、頭、頸部と肩、腕がそれぞれ逆方向に無理に引き離されるため、腕神経叢が過度に牽引され、ひどい場合には腕神経叢が引き抜かれてしまうこと(腕神経叢引き抜き損傷)もあります。また、新生児腕神経叢麻痺(分娩麻痺)は、産道からなかなか出てこられない赤ちゃんを引っ張り出す時に、赤ちゃんの腕神経叢を損傷してしまった場合に生じます。そのほか、腫瘍や放射線障害などで腕神経叢麻痺を起こすこともあります。

比較的損傷が軽い場合は、麻痺があっても、神経線維が変性しているだけなので、神経の移植などの手術で治療することができます。牽引がさらに強いと、脊髄神経の軸索が椎間孔と胸鎖乳突筋の筋膜の間で断裂し、麻痺しますが、麻痺は3ヶ月くらいで自然回復します。

 

腕神経叢引き抜き損傷

最も重篤なのは脊髄の後根と前根が脊髄から引き抜かれた損傷で、「腕神経叢引き抜き損傷」と呼ばれています。上肢の運動麻痺、感覚脱失に加え自律神経障害を伴い、感覚が脱失した部分に強烈な痛みが生じます。手術によって神経を縫合できないため、麻痺を回復させることは難しくなります。

後根が脊髄から引き抜かれるということは、痛みの伝導路が遮断されることを意味し求心路遮断が生じます。求進路遮断痛は、「熱湯を浴びた時に感じるような灼けつく痛み」「万力で締め付けられたような痛み」「金槌でうたれたような痛み」などと表現されます。ほとんどすべての患者さんが、阻血でしびれていた手に感覚が戻ってくるときに、じんじんした痛みを訴えます。絶え間なく感じる持続性の痛みに、2~3秒続く発作性の激痛が加わります。発作の頻度は患者さんによって違い、10分ごとに襲われる人も、週に1度ぐらいしか襲われない人もいます。

腕神経叢引き抜き損傷のような求心路遮断痛には非ステロイド性抗炎症薬も麻薬性鎮痛薬もほとんど効きません。抗てんかん薬、三環系抗うつ薬の投与や神経ブロックが有効な場合があります。後根が引き抜かれた脊髄表層部を高周波で熱凝固する手術もありますが、新たなる求心路遮断痛を引き抜かす可能性がないとは言えません。