痛みをとる方法 鎮痛薬ーステロイド性抗炎症薬

福井県坂井市春江町の整体院セラピストハウスです。

 

この記事は、鎮痛薬非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の続きです。

鎮痛薬の1種類、ステロイド性抗炎症薬についまとめたいと思います。

専門的な内容になりますので、興味がない方は、読み飛ばされることをおすすめします。

 

ステロイド性抗炎症薬

ステロイドとは生物が合成する脂溶性の物質で、細胞膜を構成するコレステロールや胆汁酸などが代表的なステロイドです。性ホルモンや副腎皮質ホルモンはステロイドでできたステロイドホルモンです。ステロイド性抗炎症薬は、副腎皮質ホルモンの糖質コルチコイドや電解質コルチコイド作用のある人工的に合成した薬剤で、プレドニゾロンやデキサメサゾンなどがあります。脂質二重層でできている細胞膜を通過できない水溶性の薬剤は細胞膜表面の受容体に結合して作用を発揮しますが、脂溶性のステロイドホルモンやステロイド性抗炎症薬は容易に細胞膜を通過して、細胞内にある受容体に結合して作用を発揮します。副腎皮質は、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどのカテコールアミンを産生する副腎髄質を取り巻いています。副腎髄質は3層に分かれており、すべての層からステロイドホルモンが放出されます。一番外側の球状層からは電解質コルチコイド(アルドステロン)が、その内側の束状層から糖質コルチコイド(コルチゾールやコルチゾン)が、最も内側の網状層から男性ホルモン(アンドロゲン)が放出されます。

 

化合物E

エドワード・カルビン・ケンダル、タデウシュ・ライヒスタイン、フィリップ・ショウォルター・ヘンチは副腎皮質ホルモンの構造と生物学的機能の研究により1950年度のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。バッファロー大学のフランク・アレクサンダー・ハルトマンは1927年に仔牛の副腎からコルチンを抽出し、コルチンの欠乏がアジソン病を引き起こすと考えていました。ケンダルはハルトマンの研究に興味を持ち、大量のコルチンを牛の副腎皮質から抽出することに成功し、単離した8種類の化合物の中で最も薬理活性が高かった「化合物E」を精製しました。同僚のヘンチは、黄疸が出現するとリウマチ性関節炎が軽快し、黄疸が消失すると再び憎悪することや、妊娠するとリウマチ性関節炎の症状が軽減する事を観察していました。このような臨床経験から、黄疸や妊娠によって分泌される未知なるびっしつ「サブスタンスX」が、リウマチ性関節炎の特効薬になるに違いないと考えました。ヘンチは臨床試験の実施のために、ケンドルに「化合物E」の提供を依頼しました。1948年、リウマチで5年間苦しんでいる29歳の女性に「化合物E」を投与すると、4日後には介助なしで歩けるようになりました。さらに15人の患者さんに数カ月投与し、すべてよい結果が得られました。
およそ半年後、定例の院内会議で投与前後の患者の映像を示し、その成果を報告したところ絶賛されました。「ニューヨークタイムズ」の第一面で「近代の奇跡」として報道されました。その後「化合物E」は「コルチゾン」と名付けられましたが、コルチゾン自身には抗炎症作用はありません。コルチゾンはコルチゾールの前駆体であり、コルチゾールには抗炎症作用と免疫抑制作用があることがわかりました、これらの糖質コルチコイドの化学構造の一部を改変して、ステロイド性抗炎症薬が開発されましたが、ステロイド性抗炎症薬の作用には電解質コルチコイド作用も含まれています。

 

作用と副作用

ステロイドホルモンやステロイド性抗炎症薬は細胞内の特異的受容体との複合体となって細胞核内に取り込まれ、メッセンジャーRNA(mRNA)合成を刺激して、種々のタンパク質の転写を制御します。
ステロイド性抗炎症薬はリポコルチン生合成を促進させることによって、抗炎症作用を引き起こします。NSAIDsはアラキドン酸カスケードに関わる薬剤でしたが、ステロイド性抗炎症薬はアラキドン酸カスケードのさらに上流のリポコルチン生合成を促進させることによって、抗炎症作用を引き起こします。リポコルチンはPLA2を阻害することによって、細胞膜からアラキドン酸が切り出されるのを抑制します。つまりPGの材料であるアラキドン酸が遊離されないために、たとえCOXが発現していても、PGは産生されません。また、ステロイド性抗炎症薬はリンパ球、単球、マクロファージなどの炎症性細胞で産生される種々のサイトカイン(インターロイキンやTNFaなど)の産生と遊離を抑制する事によって、抗アレルギー作用、抗炎症作用、鎮痛作用を発揮します。
ステロイド性抗炎症薬は、がん性疼痛、帯状疱疹後神経痛の除痛に用いられます。内服及び注射による全身投与以外に、関節空内注射でも投与されます。痛風などの急性炎症、慢性関節リウマチや膠原病などの慢性炎症、膠原病などに対しては、ステロイド性抗炎症薬を静脈内に点滴したり、関節内に注入する治療法が選択されます。ステロイド性抗炎症薬の関節内注入は関節リウマチの病状を劇的に緩和させますが、その重篤な副作用のため使用には限界があります。
糖質コルチコイドには肝臓での糖新生(タンパク質や脂肪をブドウ糖に変換する作用)を促進させる作用があるので、その結果血糖値が上昇します。ステロイド性抗炎症薬を投与した場合も、血糖が増えて、尿に糖が出ることがあります。また、PGの産生が抑えられるため、胃腸障害が引き起こされます。さらに骨形成を減弱させる作用があるので、骨粗鬆症、胸椎・腰椎の圧迫骨折、大腿骨頭壊死へと伸展する可能性があります。また長期大量投与により、クッシング症候群を引き起こします。クッシング症候群になるとタンパク分解が過剰に起こり、皮膚や皮下組織が薄くなり、筋肉の発達が悪くなります。体脂肪の量と分布を変えてしまい、胴回りに過剰な脂肪がつき、特に背中の上部に目立ちます。顔は満月のように丸く膨らみ、腕と脚は太った胴に比べてほっそりします。毛髪は細く、不揃いになります。打撲傷は治りにくくなり、外傷による挫傷や斑状出血が出やすくなります。ステロイド性抗炎症薬は、効果も副作用も強い薬です。ステロイド性抗炎症薬による治療を開始すると、中止後3年間は下垂体前葉-副腎皮質系がストレス負荷や感染に対応できなくなるので、注意が必要です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です