痛みをとる方法 鎮痛薬ー局所麻酔薬と抗不整脈薬

福井県坂井市春江町の整体院セラピストハウスです。

 

この記事は、鎮痛薬非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)ステロイド性抗炎症薬オピオイド系鎮痛薬の続きです。

鎮痛薬の1種類、局所麻酔薬と抗不整脈薬についまとめたいと思います。

専門的な内容になりますので、興味がない方は、読み飛ばされることをおすすめします。

 

局所麻酔薬と抗不整脈薬

通常、痛みの感覚を伝える活動電位は侵害受容器から発生しますが、末梢神経が損傷されると、損傷神経、後根神経節、神経腫から活動電位が発生します。このよううな異所性の発火活動にも、ナトリウムイオンチャネルの活性化が関与しています。ナトリウムイオンチャネルを遮断する局所麻酔薬や抗不整脈薬は異所性の興奮を抑制すると考えられ、神経因性疼痛やがん性疼痛の補助薬として使われています。

局所麻酔薬

局所麻酔薬として最初に使われたのはコカインでしたが、現在使われている局所麻酔薬は、化学構造によってエステル型とアミド型に大別されます。エステル型の局所麻酔薬にはプロカインやテトラカインなどがあり、アミド型の局所麻酔薬にはリドカイン、メビバカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、プリロカイン、プロピトカインなどがあります。麻酔薬の中毒やアレルギーなどの副作用はエステル型で起きやすく、アミド型では少ないとされています。アミド型は肝臓で分解されて腎臓から排泄されるので、分解はエステル型よりも遅くなります。

 

リドカイン

リドカインはアミド型としては最初に合成された局所麻酔薬であり、抗不整脈薬でもあります。ヴォーン・ウイリアムスは活動電位に対する作用から抗不整脈を4群に分類しています。Ⅰ群の抗不整脈薬は、ナトリウムイオンチャネルをブロックすることによって興奮電動を抑制する働きがあります。Ⅰ群はさらに、活動電位を延長するⅠa群、短縮するⅠb群、変化させないⅠc群に分けられます。Ⅰb群のリドカインとメキシレチン、Ⅰc群のフレカイニドなどが鎮痛目的にも使われます。

リドカインは表面麻酔、浸潤麻酔、伝達麻酔、硬膜外麻酔、脊椎麻酔としても使われていますが、点滴や皮下注射などで全身投与すると、神経伝達を遮断することなく、異所性の発火を抑制します。リドカインの注射薬は神経ブロックにも使われますが、最近ではさらに毒性が弱いブピバカインなどが神経ブロックに選択されています。注射薬のほか、スプレーや塗り薬がありますが、内服薬はありませんので、経口では投与できません。錠剤タイプがあるメキシレチンは、化学構造や薬理作用がリドカインと類似しているので「経口リドカイン」と呼ばれています。リドカインやメキシレチンの作用時間はそう長くありませんが、フレカイニドはナトリウムチャネルの抑制効果が強力なため、持続性があります。フレカイニドには注射薬と内服薬があり、がん性疼痛などにも用いられています。いずれもめまいや悪心、嘔吐などの副作用があるので、使用には注意が必要です。